アニメで「現代の霊界」を描く―
制作現場で考えた
映画
『ドラゴン・ハート―霊界探訪記―』
今掛勇監督・荒井プロデューサー
インタビュー
本作で監督を務めた今掛勇氏と、アニメ制作の現場で作品の完成までを見守ったプロデューサーの荒井壮一郎氏に、制作中の秘話、こだわりや見どころ、作品を通して伝えたいメッセージ等を伺いました。
目次
目に見えない世界を描くということ
- 製作総指揮者の原作や教えを頼りに
- 舞台となる徳島の取材で「見た」もの
- 「シャンバラ」を求めて
制作過程でのエピソード
- 新たな取り組み
- アフレコ現場にて
目に見えない世界を描くということ
製作総指揮者の原作や教えを頼りに
今掛――映画『ドラゴン・ハート―霊界探訪記―』は、地獄から天上界まで、ジェットコースターのような霊界体験ができる作品になっています。
これまでの幸福の科学の映画もそうですが、やはり、大川隆法総裁から原作をいただき、「霊的真実」を描いている作品だという点は、他のアニメ作品にない特徴だと思います。
もちろんエンターテインメントとしてのアニメ的な表現もありますが、基本的には大川隆法総裁が経験されたことや書籍等で教えていただいている内容を元にしてつくられた作品です。
現代の地獄の描写では、例えば、代表的な無頼漢地獄は昭和40年代のような世界であると、原作ストーリーで記述がありましたので、当時の町の様子を参考に描いています。

「無頼漢地獄」イメージボード
しかし、私たちが知りうる物事には、どうしても限界がありますよね。そうした限界を飛び越えて、大川隆法総裁のご覧になっている世界に近づけるためには、やはり書籍を何度も読み、資料を見ては絵にして、スタッフの意見やイメージを聞いては、また反映していくということを繰り返していくしかなかったんですね。本当に、決して一人ではできなかったなと思いますし、一緒に努力したスタッフたちには感謝しています。
また、本作のために大川隆法総裁が作詞・作曲された5つの楽曲が、作品の導き手となり、具体的な映像のイメージをつくっていくことができました。大川隆法総裁からいただいた楽曲そのものが作品の骨格であり、5曲の歌詞それぞれが、霊界探訪における大切なキーワードになっていると思います。

映画『ドラゴン・ハート―霊界探訪記―』
オリジナル・サウンドトラック
〔Disc.1〕に劇中歌5曲と「From Hell to Hell-Another ver.」を含む全6曲
〔Disc.2〕は劇伴28曲が収録
舞台となる徳島の取材で「見た」もの
荒井――徳島ロケに行った時の話ですごく印象的なのがあるんです。
今回、大川隆法総裁のご出身である徳島について、まず自分たちがその魅力を体感しようと、徳島のほうに監督と入らせていただいたんです。
舞台になる徳島市とか、穴吹川ですとか、大歩危小歩危、そういったところを回らせていただいた後に、大川隆法総裁の生誕地の川島町も聖地巡礼させていただきました。そこで大川隆法総裁が中学生時代に書かれた詩集『青春の卵』を読んだんです。すると、私もハッとするものがあって。
詩集の最初は「老人の手」という、針金に巻きついて伸びていく朝顔が夏の終わりで枯れてしまって、その姿が老人の手に見えたという詩。あと、「夕やけ空」という詩では大川隆法総裁が夕やけを見て、「地球が燃えている」ってその詩に託された。今はインターネットも発達しているので、きれいで上手な絵は現地に入らなくても、きれいな写真を手に入れちゃえば描けるんですよ。
だけど大川隆法総裁がおっしゃっている「美しい徳島」っていうのは、そういった技術的な話ではなく、若き日の大川隆法総裁がその心の目で見た徳島を描かないといけないんじゃないかと思ったんですよね。
その時に、「これは体感しないと描けない」と思ったんです。だからその後に、メインの制作スタッフも徳島に入ってもらいました。


大川隆法総裁の生誕地を流れる吉野川。劇中ではその雄大で神秘的な姿が描かれる。


空港から徳島市内に向かう車中から眉山を望む。映画のシーンにも登場する。
今掛――徳島は大川隆法総裁の生誕地であるという観点から見ても、特有の霊的磁場があると言っていいと思いますが、実際に足を踏み入れると、「霊的な空間に入っている」というリアルな感覚を持ちました。徳島に行く前と帰ってきてからでは、ものの見え方・感じ方が変わったように思います。
特に違いを感じるのは太陽の光です。取材中も、肉眼で見ている太陽から少し意識を変えて、天上界にあるという「霊太陽」を意識して見ていました。夏に行ったので強烈な暑さだったのですが、「霊太陽」という目に見えない神の光を意識すると、物理的な太陽の熱とは違う、慈愛に包まれているような感覚を得ることができたんです。このときに感じた「世界を取り巻く慈愛の光」を作品にも描き出せるよう意識しました。
一緒に徳島に行ったスタッフたちにも、例えば、「夏だからコントラストが強い」とか「自然がきれい」とかではなく、通常のロケーションハンティングでは得られない、徳島という霊的磁場そのものを感じ取って、それを映像に生かしてほしいと伝えたんです。
目に見えない慈愛をいかに表現するかを考えると、「太陽の光、そして光を遮る雲に覆れた地獄」というように、光もしくは影を意識して絵をつくっていきました。地獄も雲の質によってその世界の暗さや色が異なり、表現が変わります。光り輝くシーンではありませんが、たとえ地獄にいても、そこをも仏が支えているという感覚で描いています。
このように、作品の全編から、主なる神の慈愛や優しさ、そして、天上界の光を感じていただけるように心がけていますので、そういう意味でも、一般のアニメ作品とは違った表現になったと思います。

ドローンで撮影された物語の舞台となる高越寺。

スタッフと高越山をロケハンする今掛監督(写真左)と荒井プロデューサー(写真右)。


主人公たちの運命を変える穴吹川潜水橋から風景を見渡す今掛監督。


大歩危小歩危でもドローン撮影が行われた。龍が徳島の空を飛ぶシーンに生かされている。