目に見えない世界を描くということ
「シャンバラ」を求めて
荒井――今回の映画で一番難しかったのが、やっぱりシャンバラですよね。シャンバラの世界観をつくるのが一番難しかった。当然ですが、監督もプロデューサー陣も誰もシャンバラに行ったことがないので(笑)。
仏教やヒンドゥー教や神智学などの文献も調べていただいたのですが、ちょっとしか情報はなくて、ほとんど明かされていませんでした。
そうした中で、大川隆法総裁によって明かされた本当のシャンバラの姿を、映像として表現したところは非常に価値があるのではないかと思います。
また、そのシャンバラの秘密が明かされている書籍『メシアの法』や、本映画の原作である『映画「ドラゴン・ハート―霊界探訪記―」原作集―芥川龍之介が語る霊界の秘密―』、それ以外にも『地獄の法』や『霊界散歩』などを読んで頂けると、本作についてより理解が深まると思います。

今掛――シャンバラは、その世界観をどのように捉えて描くかという方向性も含めて『メシアの法』第4章「地球の心」をしっかりと押さえなければなりませんでした。何度も何度も描いては改善し、試行錯誤の連続でしたが、今の段階で描きうる最大限の努力をしたつもりです。真実の姿を描くという意味では非常に難しかったですね。
主人公の二人が桃源郷からシャンバラに向かって飛んでいく道程で、ちょうどインド霊界に入ったあたりで流れる大川隆法総裁作詞・作曲の挿入歌「シャンバラ」は、遠い記憶の憧れが呼び覚まされるような、不思議な懐しさを感じる曲だと思います。


「シャンバラ」「桃源郷」のイメージボード。
制作過程でのエピソード
新たな取り組み
今掛――新たな試みとしては、通常の紙に印刷した絵コンテによる確認に替わって、動画の状態のVコンテによる確認の工程を取り入れたことです。絵コンテをつないだものに仮の声や音楽を入れた確認用の動画をつくりました。
今作は5つの楽曲を合計7つのシーンで活用していますが、Vコンテによって、約2時間のストーリーラインと作品全体における音楽シーンのバランス等が把握しやすく、またイメージを共有しやすくなり、紙の絵コンテのときよりも具体的な改善案を検討できたと思います。
本編の制作の前にVコンテをつくったことで、スタッフ側も原作や作品全体の理解を深める機会となり、最終的な作品の完成度が上がったと思います。
荒井――劇伴(背景音楽)づくりにも、Vコンテがあったのは大きかったです。
たとえば、竜介と知美が天日鷲命と出会い、霊界探訪を命じられるシーン。最初は「怖い」と思うけれど、「未知なる世界に飛び込む勇気が、若者の特権じゃぞ」と言われ、二人がハッとなるところから、曲調が変わってきたり。もう音がぴったり心情の変化に当たってるんですよね。
劇伴だけ聴いていても楽しめますので、ぜひ「サントラ」も聴いていただきたいと思っています。




実際のVコンテより。


緊迫の「色情地獄」脱出シーンは、アクション俳優による動きを取り込んでつくられた。